3:顔の向きが違った理由/NFTの裏道

前回の記事で、2010年頃がコンピューターの進化の曲がり角であり、その頃から性能が別次元に入ったことを見ました。
しかし、迂闊にも、わたしはその重要性を深く認識できていませんでした。
もっと言えば、わたしだけでなく、日本全体がちょっと違う方角を見ていた気がするのです。

むしろ、わたし(たち日本人)は、とても後ろ向きになっていました。


何故か?


いろいろな理由を指摘できますが、中でも東日本大震災の影響が大きかったと、わたしは考えています。
失われた幸せ取り戻すために、わたしたちは『進化』よりも『復興』を強く意識したからです。
さらに言えば、『原発』という、それまで目をそむけてきた問題にも対峙しなければなりませんでした。
つまり、コンピューターの進化が生み出す未来とは、まったく逆の方向に顔を向けていたわけです。

先の図は、そのことをわたしに気づかせてくれました。

なお、そんな時には『失われた10年』といった表現がされがちですが、わたしは『失われた』とは思いません。
間違った努力にも意味はあるからです。
あるいは、道に迷ったからこそ出会えるチャンスもあるでしょう。

気づいたところからがスタートです。
わたしの視界にNFTアートが入ってくるようになったのは、端的に顔の向きを変えたからでした。

2:衝撃的なグラフ/NFTアートの裏道

さて、話は2021年の4月にさかのぼります。


当時わたしは、とある研究発表会の準備に追われていました。
30枚ほどのスライドを使って、経営者のみなさんに『10年後の日本の姿』をお伝えする趣旨でした。

そのための資料を集めている中で、1枚の衝撃的なグラフに出会ったのです。
それは、総務省がコンピューターの発達過程をまとめたものでした。
目にしたのは、ソフトバンクの株主総会の動画(孫正義さんの発表資料)だったと記憶しています。

以下の図が、そのグラフです。

資料としての、細かい前提や分析はひとまずおくとして、2010年頃をさかいに、グラフの形が一気に変わっていることをおわかりいただけると思います。

それまでは、蛇が地をはうようだったのが、2010年あたりから急激に頭が起きて、龍が天をめざすが如くになっています。
わたしは、この図を見て「あぁ〜っ。だから、いろんな変化が速くなっているのか」と、ムチャクチャ合点がいきました。
そして、「だったら、コンピューターの進化にしっかり歩調をあわせないと、ダメじゃん」と深く感じたのです。

『気づくのが遅いよ』という声も聞こえてきそうですが、そりゃぁ、体感的にも『変化が速くなっている』とは思っていました。
しかし、この図ほど、一気に事情をわからせてくれる資料はなかったんですね。

以降、メタバースやNFTアートに向けて大きく舵を切ることになりますが、その最初のきっかけは、このグラフを見たことでした。


今少し、このグラフについて、解説をしておきましょう。
ポイント『指数関数』です。

たとえば、常に値が倍になっていく現象があるとします。
具体的には、以下のような数列です。

1 X 2 = 2
2 X 2 = 4
4 X 2 = 8
8 X 2 = 16
16 X 2 = 32
32 X 2 = 64
64 X 2 = 128
128 X 2 = 256
256 X 2 = 512
512 X 2 = 1,024
1,024 X 2 = 2,048
2,048 X 2 = 4,096
4,096 X 2 = 8,192
8,192 X 2 = 16,384
16,384 X 2 = 32,768
32,768 X 2 = 65,536
65,536 X 2 = 131,072
131,072X 2 = 262,144
262,144 X 2 = 524,288
524,288 X 2 = 1,048,576

最初の方では、一桁台の伸びしかありませんが、20回目の計算時には一度に524,288も増えています。
コンピューターの進化は、まさにこの『指数関数』的でした。
CPUの世界では、長らくムーアの法則(「半導体回路の集積密度は1年半~2年で2倍となる」)が成り立っていましたが、まさにその通りだったんですね。

そして、増加が桁違いになる地点を『ニーポイント/ひざこぞう』と言います。
今一度、先のグラフを掲載します。
2010年頃が、まさに『ひざこぞう』だったわけです。


どうも、そのあたりに『ボタンのかけ違い』があった感じです。

1:ミント記念日/NFTアートの裏道

昨日(2022年8月19日)、初めて自分の画像をミント(=データをブロックチェーンに登録)しました。
言わば、個人的な『ミント記念日』だったわけですが、それを「やりたい」と思ったのは昨年(2021年)の12月だったので、実行するまでに8ヶ月くらいかかった計算です。

あまり軽快な動きとは言えませんが、わたしとしてはメタバース経由でそこにたどり着きたかったので、「まぁまぁ、見込み通りかな」という感じもしています。
メタバース経由にしたかった理由は、単純にNFTアートについてよくわかっていなかったから。
要するに、やろうと思っても、すぐにはできなかったんですね。
そりゃ、軽快になろうはずもありません。

一方で、そのまま『つくって売り出す』だけでは、おそらく簡単には売れないだろうとも感じていました。
何か『特別な仕掛けがいるだろう』と。
その仕掛けが、わたしの中では『メタバース』だったわけです。


ちなみに、今回のミントにはイーサリアムではなく、ソラナを使いました。
イーサリアムはNFTアートの王道的な暗号通貨であり、昨年末の時点だったら間違いなくイーサリアムを使っていたはずです。
しかし、「これから始めるんだったら、ソラナがいいだろう」と、わたしは考えています。
このジャンルは本当に変化が激しいので、やり方や使うツールはどんどん変わります。
それらを記録しておくことで、後から同じ場所を目指す人の道しるべにしてもらおうと考えました。


というわけで、次回、話はいったん昨年(2021年)にさかのぼります。
そこから時系列で話を進めて、やがて現在進行形の状況に追いつく構想です。
10月くらいからは、オンタイムのご報告になるのではないでしょうか。

つまり、この連載は、わたし(ozizo)がNFTアートを『売りたい』と思ってから、実際に『売れる』までの道のりをつづる記録です。
なお、本日時点では、まだ1点のNFTアートも売れていません。

しかし、『必ず売れる』と感じています。
その感覚は説明しづらいのですが、おそらくWeb3のいろんな動きが『理』にかなっているからなのでしょう。
『そりゃ、こっちの道だろう』と、自然に筋道が見える気がするんですね。
たとえば、わたしはミントのためにSolana(以下、ソラナ)という暗号通貨を使いましたが、わたしがそれを選んだというよりも、『今から始めるんだったら、ソラナでしょう』という気がするわけです。
ともあれ、わたしが進む道はたくさんの人が行き来する表参道とは限りません。

いや、むしろ『裏道』だと思います。
そもそも、NFTアートをメタバースにからめようという時点で、あまり人が通らない道です。
また、現時点では、ソラナでミントをしている人も国内には多くはいないはず。
そもそも、ソラナを扱っている暗号通貨の交換所が、FTX JapanとSBI VCくらいしかないからです。


『人の行く裏に道あり花の山』 という歌があります。
わたしは放っておいても自然に裏道を行くタイプなので、この歌が特に響くのでしょう。
そして、仮にわたしの行く道に花がなかったとしても、それは『こっちに来てはいけないよ』という道しるべになります。
どう転んでも、無駄にはならないお話です 😊


注:できるだけ読みやすい文章にしたいので、アルファベット表記は初出時にとどめ、なるべくカタカナで名称を書いていきます


夫婦でつくった美術館

メタバース美術館

若林薫さんは、アクリル絵具で作品を描かれているアーティストです。
その絵は詩情豊かで、落ち着いた暖かさをたたえています。

そんな若林さんの作品を飾ったメタバース美術館を、奥様が(Spatialで)つくられました。


実は、この美術館は2軒目になります。
最初の美術館も、やはり奥様の手によるものです。


旦那様が絵を描き、奥様がその絵を展示する美術館をつくる。
リアルであれば、何十億円とかかるプロジェクトですが、メタバース空間であれば、わずかな時間と労力によって実現できる夢です。

それ自体が、ご夫婦の仲睦まじさの記念碑とも言えますね。

ゆうさんのメタバース美術館

切手のメタバース美術館


『Spatial 入門』講座を受講してくれた63歳のゆうさんが、ご自身が集めた『切手』で美術館をつくられました。
選定と写真撮影などには時間を使ったものの、Spatialでの作業は30分程度だったとのこと。

はい。
画像を読み込むだけの設計であれば、Spatialはホームページをつくるよりも簡単ですね。
デザイン的な調整などを気にする必要がないからです。

そんな風に、自分の大好きなもので美術館をつくる人が、どんどん増えればいいと思っています。
それ自体が、日本の新しい文化になっていくはずです。

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