画像生成AIに関して、現時点(2023年5月半ば)の状況をまとめてみたいと思います。
ムチャクチャ進化するジャンルですから、3ヶ月後には全く違う状況になっているかもしれませんが、『記録』的な意味もこめてつづってみます。
画像生成AIブームの始まり
ChatGPTが史上最速で1億人ユーザーを獲得したことが示すように、言語生成AIの性能の高さについては、広く認知されています。
一方、画像生成AIに関しては「話には聞くけれど・・・」という感じではないでしょうか。
ヴィジュアル関係のニュースは、やや専門的だからです。
しかし、その能力もハンパなくて、クオリティー、スピードとも桁違い!
たとえば画像生成AIは、こんな絵をものの10秒で描いてしまいます。
いや、もう、「一体、何が起きているのか・・・」って感じですよね。
つい先日まで「最も人間らしい能力は、クリエイティビティーだ!」なんて言われていたのに、今やイラストレーターは真っ先に仕事がなくなる職種に挙げられています。
実際、すでに中国ではAIの利用によってイラストレーターへの発注が激減しているそうです。
このムーブメントの発端は、Midjourneyという画像生成AIでした。
誰でも使えるようになったのは2022年7月なので、実はChatGPTブームが起きる前でしたが、インパクトはそれほど広がりませんでした。
何故なら、ヴィジュアル方面の技術だったことに加えて、動かすプラットフォームがDiscordというサービス上だったからです。
触れる人が、限られてたんですね。
Discordというサービス
話が少し迂回しますが、ここでDiscordにふれておきたいと思います。
というのも、日本では普及していないものの、Discordは今や世界では必須のコミュニケーション・ツール。
NFTアートのコレクションをつくろうと思ったら、当たり前にTwitterとDiscordのアカウントを聞かれる状況だからです。
やたらに日本人の『遅れ』を指摘するのは好きではありませんが、Discordに関しては、けっこう顕著な現象と言えるでしょう。
未経験の方は、この機会に関心を持っていただければ、幸いです。
詳細については、たとえば、こちらの記事をご覧ください。
ちなみに、以前はフリーでお試しできていたMidjourneyは、2023年4月から100%の有料サービスに変わりました。
気軽に使えなくなったんですね。
変わって、ほとんど同じ動きをするBlueWillowが人気を集めていますが、これまたDiscord上で動くサービスです。
おすすめの画像生成AIは?
では、画像生成AIを使うためには、「必ずDiscordを使わなければならないのか?」と言えば、そんなことはありません。
今やたくさんのサービスが出ていて、ブラウザで動作するものもあります。
その中でオススメなのは、Leonardo.ai。
無料登録の申し込みをしてからやや順番待ちになりますが、待つだけの価値は十分にあるサービスです。
冒頭に掲載した白い女性のイラストも、Leonardo.ai 製。
わたしも愛用しています。
Leonardo.ai の詳しい特徴については、こちらの動画をご覧ください。
画像生成AIの著作権について
ところで、画像生成AIをめぐって気になることの1つに、著作権問題があります。
AIがつくり出した画像の著作権は誰にあるのか?
たとえば、Leonardo.ai の場合は、利用規約に「権利はつくった人にある」と記載されています。
商業利用もOKとのこと。
太っ腹ですね 😊
しかし、問題は逆方向にもあります。
つまり、AIが著作権を侵害することはないのか?
勝手に誰かの絵を真似して描き、本来人間(の作者)が持っている権利を侵害することはないのか? という問題です。
この点については、大きく懸念をされていますが、実際のところは、法整備が技術の進歩に追いついていません。
YouTubeがそうだったように、既成事実が先行する形で、なし崩し的に新しい常識がつくられるのではないでしょうか。
というか、そうならざるを得ない気がします。
いずれにせよ、この問題は、より根本的な思索へとわたしたちを誘います。
それは、「オリジナリティーとは何なのか?」という問いかけです。
というのも、実は人間にしても、誰も見たことのない絵をいきなり描けるわけではありません。
自分が気にいった人の画風を真似したり、場合によっては完全に模写をして、自分の画風をつくり上げていきます。
実は、AIと同じことをやってきたわけです。
つまり、オリジナリティーって、本来的に危ういものなんですね。
極端な人は、「オリジナリティーなんて存在しない。あるのは、すでにあるものの組み合わせだけだ」なんて言ったりします。
そして、著作権が発生するのは、つくられた作品に対してであり、画風や考え方に権利は発生しないんです。
そこを縛ってしまうと、誰も自由に創作活動ができなくなりますから。
たとえば、一般的にはあまり知られていませんが、ゲームのルールには著作権を主張できません。
誰かがジャンケンの権利を囲ってしまったら、三すくみのゲームってつくれなくなっちゃいます。
それでは、困る。
ですから、たまに丸パクリする人や企業が出てしまうものの、基本的には、パクリをしないことがゲーム業界の『矜持』なんです。
意外に、硬派な世界なんですよ 😊
人は、絵を描かなくなるのか?
話をヴィジュアルに戻しましょう。
では、絵を描く仕事ってなくなってしまうのでしょうか?
あるいは、人間はこの先、絵を描くことをやめてしまうのでしょうか?
前者に関して言えば、条件が関係します。
物理的な素材で描く絵は仕事になり続けるでしょうが、印刷物の原画になるような、デジタルデータをつくる仕事は極端に減るはずです。
ビジネスはスピードを重視するので、その理由でAIに仕事がうつることは必然と言えるでしょう。
冒頭の絵が10秒でできてしまうんですから。
あれ、人間だったら少なくとも数時間、場合によっては数日かかるクオリティーです。
一方、絵を描くこと自体は楽しみとして、あるいはアートとして残っていくと思います。
それはちょうど、車と陸上競技の関係に似ているかもしれません。
車を使う方が速くて楽なので、遠くまで走っていく人はほどんどがいませんが、趣味や競技として人間は今でも真剣に走り続けています。
これから、どうなる?/未来予想
では、趣味あるいはアートとしての『絵』はどんな風に扱われていくのでしょう?
特に、デジタルデータの絵は、著作権を主張することがますます難しくなります。
そこで、あらためて浮上してくるのが『NFT』です。
ブロックチェーン技術によって、オリジナリティを担保されるNFTは、まさにAI時代の『要』になっていくでしょう。
模倣や複製されることが当たり前になればなるほど、「これが最初の1点です」という証明が意味を持つからです。
AIとNFTは関連しあって発達したわけではありませんが、ここに来て急速に親密になりつつあります。
なんだか、青春のヒトコマを見るようです。
早く行きたいなら一人で行け
遠くへ行きたいならみんなで行け
みんなで行くには進め方が大切ですね 😊
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